自動車に限らず振動解析、乗り心地、操縦安定性に関するシミュレーションを行う場合、対象となる構造物の重心位置やイナーシャ特性を正確にモデルにインプットすることが非常に重要です。
しかしながら3Dデータを有する自社製品であっても実機搭載時にはデータ化されていないケーブル類や子部品が取り付けられ、正確なイナーシャ特性を取得することは意外と難しいことがあります。他社からの購入部品であればなおさらです。

エステックでは、加振実験により得られた対象構造物の周波数応答関数から、イナーシャ特性(質量、重心位置、慣性モーメント)を最小二乗法により推定する手法を開発しました。
最もオーソドックスな方法は、柔支持状態の周波数応答関数に現れる剛体モードマスラインからイナーシャ特性を推定する方法です。本手法によりゴム吊りや比較的柔らかいエンジンマウントで車載されたパワートレインのイナーシャ特性を得ることが可能です。
支持しているマウント剛性が既知の場合は、剛体共振特性からイナーシャ特性を推定することも可能です。
更に支持反力を計測可能な場合は、弾性変形モードの影響によりマスラインが明確に現れない構造物(乗用車トリムドボディなど)に対しても適用可能です。
